木の章 鹿


2 鹿のお腹と太極拳

 

 「あの人はカモシカのような脚をしている」といえば、それはもちろん女性にとってほめ言葉です。しかし、「あなたは、まるで鹿のようなお腹をしている」と言われれば、そのときは喜ぶべきではありません。なぜなら、鹿は、足は確かに細いのですが、お腹は大きく寸胴なのです。

 しかし、太極拳をしている人にとっては「鹿のようなお腹をしている」というのは、ある意味ではほめ言葉でしょう。太極拳の先生は、大体、腰とお腹は大きいのです。それは太極拳練習の成果であり、優雅な太極拳動作のパワーの秘訣なのです。

 ・・・早とちりしないでください。太極拳を練習すると、必ずお腹が大きくなるということではありませんから。

 鹿は、草食でおとなしい動物ですが、いつもぴょんぴょん飛び跳ねて元気です。生殖能力に富んでいるといわれています。
 
現代人はどうでしょうか、どうも昔の人に比べてパワーが衰えてきているようです。10代、20代の若者の精子の数が40代以降の男性に比べて遥かに減少してきているということです。女性も同様に、妊娠する力が衰えてきているといわれています。

 その結果、すでに日本の人口は減少傾向に転じました。小学校の多くが廃校になり始めています。老人ばかりが増加して、働ける成年が減少していき、日本は年金問題などの深刻な問題を抱えるようになりました。

 私たちは、いまこそ「鹿」に学ぶべきです。

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